今回のご依頼者様はもちろん人間ですが、使うのは犬。動物用の家具をデザインするのは初めてでしたので、よーく考え、つくりました。自分もかつて犬を飼っていたので、その経験も盛り込んで、ひとつのカタチにしました。犬が人間と暮らす環境において、先ず考えたのは「目線」です。もともとハンターの血をひく動物が落ち着いて生活するには、まわりからの不必要な目線を遮断すること。壁面を全てゲージにせず、腰高まで壁にしたのは、くつろいで壁際にもたれて寝ている時は周囲の目を気にすること無く、何かを訴えたいときなどは立ち上がり、飼い主と顔を向き合うことができます。こうすることで、犬も程よいプライベートが確保でき、ゲージの中でもストレスなく生活できると思います。もちろん飼い主様のコトも考えて設計しています。
置き場所の移動や、掃除の時など、取付け・取外しがしやすいようドライバー1本で簡単に組み立てることができる構造になっています。ゲージの床はどうしても汚れやすいので、飼い主がご自身でメンテナンスも出来るよう、ホームセンターなどで容易に手に入るベニヤ板をそのままカットせずに利用できる寸法にもなっています。犬は頭が良いので、いたずらで扉が開かないよう、厨房機器などで使われる業務用の金物を選んでいます。シンプルなカタチの中にも、いろいろなこだわりを詰め込みました。人間と動物が、お互い尊重し合い、生活できる暮らしが、地球平和に繋がっていくのではと、ふと考えています。